倉敷芸術科学大学 生命科学科 准教授 楢村 友隆
インドネシア共和国(通称インドネシア)は、大小1万5千ほどの島々からなる日本の約5倍ほどの面積を有する広大な島嶼国です。東西5,000 kmを越える広大な国ですので、時間帯も地域によって3つに分かれています。総人口は2億5千万人ほどで世界第4位の人口を有しており、赤道に近いので年中暖かい(暑い)国です。日本人の旅行先として人気のあるバリ島はインドネシアにある島の一つです。インドネシアには日本から直行便が多数就航しており、首都であるジャワ島のジャカルタ、バリ島の都市デンバサール行きの飛行機は日本各地から毎日就航しています。フライト時間はおよそ7時間ほどです。イスラム教徒が多く、豚肉やお酒を提供していないお店も多くあります。
インドネシアの医療事情は地域格差が大きく一概には言えませんが、公立病院は老朽化が目立つ一方、外国人向けの私立病院の医療設備は充実しています。首都ジャカルタを始め都市部では慢性的な交通渋滞のために、急病を発症しても病院にたどり着くまで数時間かかることも稀ではありません(写真1)。以前までジャカルタやバリ島などでは複数の日本人医師・歯科医が現地で医療に携わっていましたが、インドネシア国内に2016年に発布された「外国人医療従事者に関する規制」の影響で、日本人医療従事者のすべての医療行為が禁止されてしまい、現在では現地で医療行為を提供している日本人医療従事者は皆無となってしまいました。
インドネシアでは2015年に国民皆保険制度が導入され、その影響もあり国公立病院は常時混雑しています。インドネシアは人口が多い割には病院の病床数も医師数も少なく、そのため、医師は公務員でも医療機関3箇所までの掛け持ち勤務(兼業)が認められているため医師のアルバイト率が高く、病院に専属医師不在のケースが多いため診察を受けるのにも結構苦労します。一方、インドネシアの方は病気になったらまずは「ジャムウ」と呼ばれる草木の根・茎・皮・花・種子・葉・果実といった自然素材から作られた伝統医薬品を薬局や道端(あちこちで行商人が路上販売しています)で購入して飲む習慣があり、それほど病院にはかかりません。
インドネシア国内の2015年現在の登録透析患者数はおよそ3万人ほどでしたが、国民皆保険制度が導入された影響で現在ではかなり増加しているものと思われます。一方、インドネシアでは診療報酬が4段階に分かれており、同じ治療を行っても支払われる診療報酬に差があります。診療報酬が高い順に大学病院、総合病院、一般病院、クリニックとなっており、大学病院や総合病院のクラスでないと透析治療は十分な利益が出ないため、透析治療を行っているのも大学病院や総合病院が殆どです(写真2、3)。また、腎臓内科を専門とする医師が極端に少ないため、透析治療は中々普及に至っていません。インドネシアでは、担当する患者数に対して医師に報酬が支払われるシステムがあり、このシステムの影響でベテラン医師は中々若手医師を育成しようとしないのも医師不足の原因の一つとなっています。
インドネシアのジャワ島中部には世界三大仏教遺跡の一つであるボロブドゥール遺跡があり、観光客で賑わうバリ島にも名所が多々あります(バリ島の物価はインドネシア本島と異なり、かなり高いです)。インドネシアの首都ジャカルタからボロブドゥール遺跡やバリ島に向かわれる場合はそれぞれ飛行機移動となりますので、旅行計画に余裕をもってお出かけください(ジャカルタの交通渋滞はかなりひどいですし、飛行機はかなりの確率で遅延します...)。
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