倉敷芸術科学大学 生命科学科 准教授 楢村 友隆
タンザニア連合共和国、通称タンザニアはアフリカ大陸の東(東アフリカ)に位置する共和制国家で、ケニア、ウガンダ、ルワンダ、ブルンジ、ザンビア、マラウイ、モザンビーク、コンゴ民主共和国と国境を接し、インド洋にも面しています。ちなみに、アフリカ大陸には何ヶ国あるかご存知でしょうか?実は、54ヶ国(未承認の国が別途2ヶ国あります)もあります。また、アフリカ全体の人口は13億人にも及びます。
アフリカは日本から遠いイメージがあると思いますが…実際、かなり遠いです。前回号で紹介したブラジルとあまり変わらない距離です。日本から行く場合、地球を右回りに飛んでも、左回りに飛んでも所要時間はあまり変わりません、タンザニアはアフリカの東側(右端)の赤道のやや南に位置し、西回り(左回り)に飛んだ方が近いです。日本からだと中東のドバイ(アラブ首長国連邦)もしくはドーハ(カタール)で乗り継ぎ、タンザニアの主要都市ダルエスサラームまで約23時間ほどかかります(写真1)。ヨーロッパ(英国・オランダ)やタイ・シンガポール等を経由するルートもありますが、若干遠回りになり時間がかかります。
タンザニアは年中暖かく、アフリカ諸国の中では治安もよく経済的にも安定しているため、安心して旅行できます。ただ、やはりそこはアフリカで、貧富の差が激しく人通りの少ないところには行くべきではありません。観光資源は豊富で、北東部にアフリカ最高峰のキリマンジャロ山(5,895メートル)があり、北部にアフリカ最大の面積を誇るビクトリア湖、西部にアフリカでもっとも深いタンガニーカ湖があります。この南のニアサ湖を含めアフリカ三大湖が存在します。また、ンゴロンゴロ保全地域やセレンゲティ国立公園などでのサファリも楽しめます(写真2)。
タンザニアにおける現在の正確な透析患者数は不明ですが、論文によりますと2017年には国内の慢性腎臓病、糖尿病の有病者数がそれぞれ約300万人、約150万人に達し、年々増加傾向にあるとのことです。また、2019年時点で透析治療を受けている患者数は約1,000人と少ないように感じますが、これは広大な国土を持つタンザニアの一部の都市でしか透析治療が行われていないこと、病院にかかる費用がない方が多いこと、透析治療をしらない国民が多いこと、腎不全になっても病院にかからずそのまま亡くなる方が多いこと、少数部族が多く現代文明と一定の距離を保って生活している方が多いこと、など、さまざまな原因が考えられます。
一方、タンザニアでは透析治療は保険診療となっており、1回の透析治療費が約120ドルなのに対して、その殆どを国が負担しています。ここでは、タンザニアの首都ドドマにあるドドマ大学附属病院の透析センターをご紹介します(写真3~5)。透析条件も日本とほぼ同じで、日本人が透析治療を受けても問題ないレベルの透析を提供しています。ダイアライザも単回使用です(リユースはしていない)。タンザニアの公用語はスワヒリ語ですが、英語が第2言語となっており、病院内では英語が通じます。
タンザニアの周辺諸国では黄熱(ネッタイシマカ などの蚊によって媒介される黄熱ウイルスを病原体とする感染症)が毎年流行することから、入国者に黄熱ワクチンの接種が義務付けられていますが、タンザニアでは黄熱ワクチン接種は必須ではありません。ただ、隣国のケニアやウガンダを旅行した後にタンザニアに入る場合は黄熱ワクチン接種の国際予防接種証明書(通称イエローカード)の携帯が必須となり、持っていない場合は入国することができないため旅行計画を立てる際には注意が必要です。
新型コロナウイルスが未だ世界各国で猛威を振るっていますが、ヨーロッパに近い北アフリカ諸国や南アフリカ共和国などを除くと、中央アフリカや東アフリカ諸国ではあまり新型コロナウイルスは流行していません。PCR検査があまり実施されていないために感染者数が把握できていないとする考え方もあるようですが、実はそうではありません。アフリカのような医療インフラがあまり整っていない地域では、感染症の蔓延が国自体を滅ぼしてしまう可能性もあるため、日本よりもしっかりとした感染症対策が取られています。具体的には、感染地域のロックダウンです。むしろ、日本の倍以上のPCR検査が実施され、感染者が出た場合1か月以上外出禁止令が出される国もあり、外出者に対する厳しい罰則もあります。黄熱やデング熱、マラリアなど、蚊が病原体を運ぶ感染症に比べ、人の移動さえ制限すれば感染が広がらない新型コロナウイルス感染症は、途上国の方々にとっては比較的制御が容易な感染症なのかもしれません。
大自然の中をゾウやキリン、ヌーの大群などが移動する姿は圧巻です。日本国内では未だ新型コロナウイルス感染症が猛威を振るっていますが、終息した暁にはアフリカまで足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。
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