倉敷芸術科学大学 生命科学科 准教授 楢村 友隆
タイ王国(通称タイ)は、人口およそ7,000万人の立憲君主制国家であり、東南アジアではインドネシアに次ぐ経済規模を誇っています。
首都バンコクにあるスワンナプーム国際空港は世界中の航空会社が乗り入れ、アジア諸国のハブ空港としての役割を担っており、透析関連の日系企業も数多く進出している国として知られています。
アジア諸国における透析施設数・患者数は年々増加しており、タイも例外ではなく、2015年現在透析患者数4万人、透析施設数750施設と報告されています。タイでは医療保険財源が3種類あり、国民の殆どが何らかの公的保険に加入する「国民皆保険」が達成されています。保健省から公務員医療保険への予算の割当は“出来高払い”であるのに対し、国民の多くが加盟している社会医療保険もしくは国民医療保険への予算は加入者数に依存する“人頭払い”で決められています。公的保険により施設に支払われる透析治療費は1回あたり1,500 バーツ(1バーツ≒3.4円、2017年10月現在)と低額であり(日本の透析医療費は1回約22,000円+材料費)、材料費や薬剤費などは全て“まるめ”であるため、混合診療により患者に直接負担を求めている病院もあります。
外国人は自由診療の扱いとなり、病院により透析医療費は異なります。医療ツーリズムに注力しており、外国人向けの病院が多いこともタイの特徴の一つです。
① King Chulalongkorn Memorial Hospital
国内トップレベルの国立Chulalongkorn大学が擁するKing Chulalongkorn Memorial Hospital。シーロム駅の近くにある約1500床を誇る巨大総合病院で、公的保険が利用できるため一般外来患者は1日に5,000人以上訪れます。最近オープンした新透析室。オンラインHDF治療も施行できるよう、水処理装置は最新鋭のものが導入されており、日本透析医学会が定めている透析液水質基準達成を目指しています。
② Samitivej Srinakarin Hospital
アジアトップレベルの医療水準を誇る私立サミティヴェート病院グループのSamitivej Srinakarin Hospital。バンコク東部スワンルワン区シーナカリン通りにあり、タイ最大のこども病院も併設しています。タイの医療ツーリズムの拠点病院として機能しており、英語、日本語を含む多言語通訳が常駐しています。人工透析治療も行っており、オンラインHDF治療にも対応しています。日本人が多く住むワッタナー区スクンヴィット通りにある本院のSamitivej Sukhumvit Hospitalは、日本人患者が多く訪れることでも有名です。
(透析室内の写真は、プライバシー保護のため画像処理をしています。)
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